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『自己充填覆工構築システム』実用化に向け、実物大実験を実施
2022年01月11日
佐藤工業は、岐阜工業㈱と共同で、トンネル工事における『自己充填覆工構築システム』の実用化をめざし、これまで要素実験、中規模実験を重ねてきました。このたび、それらの成果を踏まえて、今年2月に茨城県つくば市で自社施設として開設予定の「技術センターSOU」のテストフィールドにおいて、通常の山岳トンネル覆工用セントルと外型枠を設置し、セントル中央部下方より自己充填コンクリートを圧入する方式で実物大実験を行い、良好な覆工コンクリートを構築することができました。
1.開発の経緯:トンネル覆工コンクリートの構築においては、作業員の高齢化や熟練作業員の不足、覆工用型枠の狭隘な作業空間など、労働環境に対する改善策が求められています。また、覆工品質の面においても、コンクリート品質の変動や振動締固めの不備に起因する材料分離、充填不良などの初期欠陥はなくならず、それらに対する予防策が求められています。
そこで当社では、省力化・省人化や覆工品質の向上を目的に、自己充填コンクリートを用いてトンネル覆工を自動化する『自己充填覆工構築システム』の開発を進めてきました。2020年10月には、当社施工の道路トンネル建設工事現場において、トンネル覆工用セントルを自己充填コンクリートの液圧に耐えられるように補強し、通常の1スパン長10.5mのうち3.0mの部分だけを用いるように改造して、中規模な自己充填コンクリート圧入実験を行いました。その結果、振動締固めおよび配管切替えの必要もなく、天端部まどの充填を確保することができました。圧入口より連続してコンクリートを充填させることで、常に打込み上面をほぼ水平に保つことが可能です。また、従来のようなコンクリートを打ち重ねる工法ではないため、縞模様のない美観を呈し、巻込み空気に起因する表面気泡もなく、出来映えは極めて良好でした。さらに、側圧計測結果から型枠設計のための貴重な情報も得ることができました。
2.今回の実物大実験の概要:中規模実験の結果を受けて、今回、今年2月に開設予定の「技術センターSOU」のテストフィールドにおいて、実物大実験を実施しました。通常の山岳トンネル覆工用セントルと外型枠を設置し、1スパン10.5mの実物大セントル中央部下方より自己充填コンクリートを圧入して覆工コンクリートを構築しました。その結果、振動締固めを行うことなく天端部までの充填を確保することができました。圧入口より連続してコンクリートを充填させ、約80㎥の覆工コンクリートを3時間程度で完成させました。
3.今後の取り組み:今後、養生期間を経てから硬化後の品質確認を行い、測定データの検証と合わせ、実用化へ向けた検証作業を進めていきます。さらに、「トンネル覆工セントル用磁力吸着走行機」や「出来形マイスター」などの当社保有技術と統合していくことで、トンネル覆工の省力化・自動化への取り組みを推進していきます。