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覆工コンクリート頂部のひび割れ抑制に繊維シート補強

2013年05月16日

~ T-FREG工法をアーチクラウン部全面に適用(国内初) ~

佐藤工業は、国土交通省近畿地方整備局発注の鍋谷峠道路鍋谷峠トンネル工事(工事場所:大阪府和泉市父鬼町地先~和歌山県伊都郡かつらぎ町平地先、トンネル延長3,697m)において、繊維シートをあらかじめ型枠に敷設してコンクリートを打設し、覆工コンクリート頂部のひび割れを抑制することで長期耐久性の向上を図る工法を適用しました。

これまで、当社では主に覆工コンクリートの施工目地付近を対象に繊維シートによるはく落防止を目的としたT-FREG(ティーフレッジ)工法(特許取得済み,NETIS登録番号:KT-110083-A)を、既に4本の山岳トンネルに適用しています。今回、国内で初めてひび割れ抑制を目的として、坑口部(和歌山側5スパン(49.4m)と大阪側7スパン(67.3m))の全長にわたってアーチクラウン部に繊維シートを敷設する技術を導入しました。

※T-FREG(unnel iber einforced ing)

【T-FREG工法の特長】

①優れたはく落防止性能

曲げ靭性係数(1.40N/mm2以上)と押抜き耐力(変位10mm以上で1.5kN以上)は東日本高速道路(株)、中日本高速道路(株)、西日本高速道路(株)3社の基準を満足し、短繊維補強コンクリートの適用あるいは後貼り工法による補強と同等のはく落防止性能を有します。

②安全と安心の提供

覆工コンクリートのはく落リスクを低減させることで落下したコンクリート片が原因の交通災害を未然に防ぐことができ、復旧施工による保全コストを抑制、かつ交通遮断による利用者・管理者双方の経済損失を防止することで、安全と安心を提供できます。

③特殊設備は不要

型枠への加工は僅かで済み、従来の型枠をそのまま使用できます。繊維シートの敷設にも特殊な機械を必要としません。

④施工サイクルは不変

繊維シートの敷設に要する手間と時間はごく僅かであり、本来の作業工程と並行して行うことができます。脱型後に特別な養生も必要としないので、従来どおりの作業人員と施工サイクルを遵守できます。

⑤ひび割れ低減に効果

覆工コンクリートにひび割れが発生する状況を再現するために梁試験体による曲げ試験を行い、強制的にひび割れを発生させた結果、T-FREG工法に倣って繊維シートを埋設した試験体では、ひび割れ幅の抑制とひび割れの分散の効果が得られることが検証でき、はく落以前の段階でひび割れ低減効果にも寄与します。

【今後の展開】

今回の繊維シートによるにひび割れ抑制技術は、鍋谷峠トンネル工事に続き、本年中に別の2トンネルでも適用する予定です。当社では、今後他のトンネルへも積極的にT-FREG工法や今回のひび割れ抑制技術ならびに覆工コンクリートの品質向上に寄与するその他の保有技術の導入を図ることで、トンネル利用者と管理者双方へ安心と安全を提供したいと考えています。

繊維シート敷設のイメージ

繊維シート敷設のイメージ

繊維シート設置状況

繊維シート設置状況