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〔トンネル発破掘削の自動化技術〕発破パターンの自動化システムを開発し、実工事に導入
2024年09月20日
佐藤工業は、山岳トンネル施工における自動化技術として、発破パターンを自動で適正化するシステムを開発しました。当システムを国土交通省四国地方整備局発注の「令和4-6年度 桑野道路下大野トンネル工事」に実導入し、自動穿孔を行っており、さらなる省人化や経済性の向上を図っています。
<システムの概要>
当システムは、山岳トンネルの発破掘削において、岩盤性状の把握から、掘削対象地山の硬軟に応じた発破パターンの自動作成、さらにフルオートコンピュータジャンボへのデータ転送までを、全て自動で行うものです。
◇システムの運用手順
①PLAN
自動作成ソフトを用いて発破パターンを作成し、データを転送する。
②DO
作成した発破パターンに基づき、
フルオートコンピュータジャンボが自動で穿孔し、装薬、発破する。
③CHECK
目視確認および3D-LiDARを用いて余掘量などの発破掘削結果を確認する。
④ACTION
穿孔データや発破結果等を分析し、次回の発破計画へフィードバックする。
<システムの特長>
◆省人化
熟練技能者の判断に頼ることなく、地山に応じた最適な発破パターンが作成できます。
◆経済性向上
岩盤性状に合わせた合理的な発破パターンを適用することによって発破の装薬量を削減することができ、
余掘りも抑えられることから、経済的な施工が期待できます。
<開発の経緯>
山岳トンネルの発破掘削において、従来は、支保パターンごとに発破パターンを計画し、その後、作業員の経験に基づいて穿孔および装薬を行っていました。しかし、近年、熟練技能者が不足し、技術継承が課題となっています。一方で、機械技術の進歩により、穿孔に使用されるドリルジャンボは多機能化し、穿孔時に掘削対象となる岩盤の硬軟を記録できるようになっています。
そこで、ドリルジャンボで記録した穿孔データをもとに、掘削対象地山の硬軟に応じた発破パターンをシステム的に自動作成することを検討し、省人化および経済性の向上をめざして、開発を行ってきました。
<今後の取り組み>
当システムを実現場で定常的に使用することによって、その効果を検証するとともに、穿孔順序等も含めさらなるシステムの改良を進め、山岳トンネル施工における発破掘削の最適化をめざします。
※ 当システムは、当社がロジックを構築し、マック株式会社(千葉県市川市)がプログラムを制作したものです。
〔イメージ図〕
穿孔データからフルオートコンピュータジャンボに付属のソフトを用いて取得した穿孔エネルギー
(図・上)切羽正面
(図・下)切羽斜め方向
〔イメージ図〕穿孔エネルギーを基に作成した発破パターン
※発破は内側から外側へ極めて短い時間差で順次火薬を爆発させて行いますが、図内の数字は、丸数字がその爆発の順序で、小さい数字は同時に爆発する装薬孔ごとに与えられた個別の番号です。